ハードディスク消去ツール「wipe-out」 version 0.8 〜 簡単操作でハードディスクのデータを削除する 〜 Copyright (C) 2007 by Dai ISHIJIMA ●はじめに パソコンの譲渡時や処分時に、ハードディスクのデータが消されずに 残っていることが原因で、個人情報や企業情報などが漏洩することが問 題となっています。 この「ハードディスク消去ツール『wipe-out』」を使うと、簡単に、 かつ安全に、ハードディスクに記録されているデータを削除することが できます。このツールは、ハードディスクにデータを上書きすることに よって、記録されていたデータを削除します。 ●アーカイブファイルの中身 配布アーカイブ wpout08f.lzh には、以下のファイルが入っています。 readme08.txt このファイル wpout08f.flp フロッピーイメージファイル ●ディスクのデータを消す前に…フロッピーの準備 Windowsパソコンをお使いの場合は、「rawrite」や「fdimage」など のツールを使って、フロッピーイメージファイル wpout08f.flp を、フ ロッピーに書き込んでください。FreeBSDのダウンロードサイトなどで 配布されている「rawrite」を使う場合は、次のようにします (アーカ イブファイルを「c:\tmp\」ディレクトリに展開した場合)。 C:\>rawrite \tmp\wpout08f.flp a: Linuxや*BSDなどのPC-UNIXをお使いの場合は、ddコマンドでフロッピ ーに書き込んでください。FreeBSDだと次のようにします。 # dd if=/tmp/wpout08f.flp obs=9k of=/dev/rfd0 以上のような手順でフロッピーを用意できたら、そのフロッピーをデ ータを削除したいパソコンにセットし、フロッピーからパソコンをブー トします。 ●ディスクのデータを消す フロッピーからブートすると、次のようなメニュー画面が表示されま す。(なお、以下の例は、IBM DJNA-352030 をつないだパソコンでのも のです。実際には、お使いのハードディスクの情報が表示されます。) *** Hard Disk wiping tool "wipe-out" *** current disk: /dev/ad0 capacity: 20,415,144,960 bytes (19G) 0: write "0" onto the disk 1: write "1" onto the disk 2: erase data with multiple writing 3: select multi-write method 4: verify disk (quick) 5: verify disk (normal) 6: write erase log onto the disk 7: select disk 8: dump sector 9: set sector number to dump a: write random data onto the disk b: run shell (sh) c: reboot d: shutdown enter number [0-9a-d]: ここで、ハードディスクの型番 (「current disk」の右) および容量 (「capacity」の右) がデータを削除したいハードディスクのものであ るかどうかを確認してください。表示されているハードディスクのデー タを削除する場合は、「enter number [0-9a-c]:」のところで、「0」 を入力してください。 上のメニューで「0」を入力すると、次のように、再度、ディスクの 型番と容量が表示され、「Ok? [y/n]」と確認メッセージが表示されま す。 *** erase data on ad0 , 20,415,144,960 bytes with writing '0' onto the disk Ok? [y/n]: データを削除する場合は、ここで「y」を入力してください。「y」以外 の場合は、最初のメニューに戻ります。「y」を入力した場合は、 Really? [yes/no]: と、しつこく確認メッセージが表示されます。データを削除する場合は、 「yes」を入力してください。「yes」以外を入力した場合は、最初のメ ニューに戻ります。「yes」を入力すると、データの削除が始まります。 データの削除中は、次のように進捗状況が表示されます。 erasing data on disk: ad0. 18% done 0%|#########_________________________________________|100% データの削除に要する時間は、お使いのハードディスクの容量やパソ コンによって異なります。ハードディスクの容量が小さく、パソコンの 処理速度が速ければ、削除に要する時間は短くなります。作者の環境で は、80Gバイトのハードディスクのデータ削除に45分ほどかかりました (CPU Intel Celeron 1.1GHz、マザーボード ASUS TUSL2-C、ハードディ スク Seagate ST380021A)。 データの削除が終わると、 completed Press ENTER to return menu... というメッセージが表示されます。ここで、エンターキーを押すと、最 初のメニューに戻ります。 ●データを削除するディスクを選択する 最初のメニューで「7」を入力すると、次のようなメニューが表示さ れ、データを削除するディスクを番号で選択することができます。 *** select a disk to erase data 0: ad0 20,415,144,960 bytes (19G) 1: da0 19,921,628,160 bytes (18G) which drive to erase data? [0-1]: ●どんな方法でデータを削除するか このツールでは、ハードディスクに記録してあるデータを削除する方 法として、次の4通りの方法を選択できます。 ・0を上書きする ・1を上書きする ・複数回データを上書きする ・乱数を使ってでたらめなデータを上書きする それぞれ、最初のメニューの0、1、2、aに対応しています。先の例で は、「0」を入力して、「0で上書き」する方法を説明しましたが、 「enter number [0-9a-d]:」のところで、「1」や「a」を入力すれば、 「1で上書き」や「乱数で上書き」でディスクのデータを消すことがで きます。 ●複数回書き込みで念入りにデータを削除する データを一度上書きするだけでは安心できないというケースでは、複 数回にわたってデータを上書きしてデータを削除することもできます。 最初のメニューで「2: erase data with multiple writing」を選択す ると、複数回書き込みを実行します。どういうデータを上書きするかは、 「3: select multi-write method」からサブメニューを呼び出して選択 します。 このサブメニューでは、「0で上書き」、「1で上書き」、「乱数で上 書き」、「ランダムパターンで上書き」、「パターンの補数で上書き」 を組み合わせたさまざまな削除方法を選択できます。 ●削除確認 メニュー画面から「verify disk」を選択すると、そのディスクが消 去されているかどうかを、実際にディスクのデータを読み込んで確認し ます。「5. verify disk (normal)」はディスクのすべてのセクタを、 「4. verify disk (quick)」では1/10のセクタをチェックします。 ●削除記録の書き込み ディスクのデータをどのように削除したか、また、削除確認を行った かをディスクの先頭セクタ (MBR) に保存することができます。これに は、「6: write erase log onto the disk」を選びます。削除記録の書 き込みを行ったディスクからブートすると、 The contents of this storage device may have be erased with hard disk wiping tool "wipe-out". ABSOLUTELY NO WARRANTY のようなメッセージが表示されます。 ●対応機種について ・本ツールは、FreeBSD/i386が動作するコンピュータで利用できます。 ・本ツールでデータを削除できるストレージデバイスは次のとおりで す。 ・FreeBSDのインストール用カーネルでad0, ad1(ATAディスクコ ントローラドライバ ad(4) で扱えるディスク)および、ahc(4)、 sym(4) SCSIホストアダプタに接続され、da0, da1(SCSIダイ レクトアクセスデバイスドライバ da(4) で扱えるディスク) として認識されるストレージデバイス ・一般的なATAディスク (ad(4)) ・Adaptec AHA-2940シリーズ (ahc(4))、Tekram DC-390シ リーズ (sym(4)) およびそれらの互換SCSIホストアダプ タに接続した一般的なSCSIディスク (da(4)) ※ ad(4), da(4), ahc(4), sym(4) の詳細については、FreeBSD 4.x のマニュアルページなどをご覧ください。 ●シリアルコンソールによる動作記録の保存 ディスクの削除を行ったかどうかを、そのディスクではなく、別のテ キストファイルなどに記録することもできます。この場合は、クロス結 線のシリアルケーブルを接続した別のパソコンのターミナルソフトから 操作を行い、操作時のログをテキストファイルとして保存します。 シリアルコンソールを利用するためには、起動時に「-」が表示され た時点でスペースキーなどを押し、ブートローダの >> FreeBSD/i386 BOOT Default: 0:fd(0,a)/boot/loader boot: のメニューを呼び出します。ここで「-h」を入力すると、シリアルコン ソールが有効になります。 もし、上記メニューに間に合わなかった場合は、 Hit [Enter] to boot immediately, or any other key for command prompt. が出たところでスペースキーなどを押し、「ok」プロンプトに対して set console=comconsole boot と入力してください。 なお、シリアルコンソールの通信条件は、9600bps・8ビット・ノンパ リティ・1ストップビット・フロー制御なし、です。また、シリアルコ ンソールについての詳細はFreeBSDのドキュメントなどを参照してくだ さい。 ●おことわり ・本ツールは、OSとしてFreeBSDを利用しています。 ・本ツールはフリーウェアです。著作権は、作者である いしじま☆だい が保有しています。 ・本ツールを利用した、あるいは利用しなかったことによって生じた いかなる結果についても、作者は責任を一切負いません。 ●参考文献 ・社団法人 電子情報技術産業協会 (http://www.jeita.or.jp/japanese/index.htm) 「パソコンの廃棄・譲渡時のハードディスク上のデータ消去に関す るご注意」(http://it.jeita.or.jp/perinfo/release/020411.html) ●姉妹品の紹介 最近のパソコンは、フロッピーディスクドライブを搭載していないも のもあります。このようなパソコンでは、本ツールの姉妹品「CD-ROM版」 をお使いください。以下に「CD-ROM版」でのメインメニュー画面を示し ます。 +---------------- ハードディスク消去ツール『wipe-out』 ----------------+ | ★メインメニュー★ | | 現在選択中のディスクは /dev/ad0 です。 | | ディスクの容量は 20,415,144,960 バイト (19G) です。 | | 以下のメニューから処理を選択してください。 | | | | +------------------------------------------------------------------+ | | | z 0を上書きして、このディスクのデータを消す | | | | f 1を上書きして、このディスクのデータを消す | | | | n 複数回上書きして、このディスクのデータを念入りに消す | | | | m 念入り消去の上書き方法を選択する | | | | v データが消去されたか確認する (高速/一部をチェック) | | | | V データが消去されたか確認する (通常/全部をチェック) | | | | w 消去ログをディスクに書き込む | | | | L 動作記録をフロッピーに書き出す | | | +-----v(+)---------------------------------------------------------+ | | | +----------------------------------------------------------------------+ | [ OK ] Cancel | +----------------------------------------------------------------------+ ●CD-ROM版を使うには CD-ROM版アーカイブには、ISOイメージファイルが格納されています。 このイメージファイルを適当な書き込みツールでCD-R/RWに書き込んで ください。 ●CD-ROM版の特徴 CD-ROM版では、メニューなどが日本語で表示され、操作が非常に簡単 です。メニューの選択にはカーソルキーを、選択された項目を実行する にはエンターキーを使います。 また、CD-ROM版では、フロッピー版の機能に加え、 ・動作記録のフロッピーなどへの保存 (あらかじめ、FATフォーマットを行い、「WIPE-OUT」という名 前のフォルダをルートディレクトリに作成しておいてください) ・先頭セクタ(MBR)のみの削除 ・ディスクのコピー (不良セクタの発生したディスクのデータサルベージにどうぞ) といった機能が追加されています。 ●本ツールの入手方法 本ツールおよび姉妹品は、作者のウェブサイトで公開しています。ア ドレスは http://hp.vector.co.jp/authors/VA004814/ です。必要に応 じてダウンロードしてください。 ハードディスク消去ツール「wipe-out」v0.8 Copyright (C) 2007 by Dai ISHIJIMA